千七十三(その八十三) お推大臣(兼、官僚忖度担当大臣)の悪政を二題
平成三十戊戌
一月六日(土)
昨日、お推大臣(兼、官僚忖度担当大臣)の悪政が二つ報道された。一つは読売オンラインによると
官邸が「インスタ」…首相の動画や写真投稿

と云ふ題だ。本文は
首相官邸は4日、画像共有サービス「インスタグラム」の公式アカウントを開設した。(中略)首相官邸は「首相や官邸のオフショットを紹介していきます」と説明しており、4日午後9時時点で5000人以上がアカウントをフォローしている。

そんなことをする暇があったら、モリカケ問題を解決することだ。二二六事件はラヂオのアナウンサが「今からでも遅くはない」と放送した。モリカケ問題は、今からでは遅い。遅いが解決すべきだ。
昨年の流行語大賞は、「忖度」と「インスタ映え」だった。さては「忖度」だけではなく「インスタ映え」まで独占したいのかと嫌みの一つも言ひたくなる。これでまた大笑ひの対象になってしまった。

一月六日(土)その二
二つ目の悪政は、将棋で史上初の「永世七冠」を達成した羽生善治さん(47)と、囲碁で二回目の七冠を達成した井山裕太さん(28)に対する国民栄誉賞だ。
両方を比べれば羽生さんの業績のほうが遥かに大きい。永世七冠はそれぞれのタイトルを連続五期或いは合計七期獲得しないと達成されない。井山さんは七冠を合計二期だ。(囲碁には永世資格は無いが名誉本因坊などの資格はある)。
だからといって井山さんが格下と云ふことはない。これからが楽しみな青年だ。それなのに今与へると、将来更に伸びる芽を摘んでしまふことになり兼ねない。
判りやすい例を挙げると、世襲三世の政治屋が、たまたま首相と同じ派閥だったので官房副長官に抜擢された。この時点でこの男の器ではこれが限度だとばかり、瑞宝xx章(旧称、勲x等)を与へたらどうなっただらうか。その後、閣僚未経験なのに更に抜擢されて幹事長になり、更にその後、お友達濡れ手に粟商売推進大臣(兼、官僚忖度担当大臣)になることはなかっただらう。
羽生さんにとっても長年掛けて手にした永世七冠を、二回目七冠の青年といっしょにされたのでは、本人は全然気にしなくても、日本将棋連盟関係者、将棋ファン、羽生ファンは大いに不満が残る。
井山さんは今後も記録を伸ばす人だ。そのときに受賞させればよいのに今頃与へるのは、お推大臣の人気取りとしか考へられない。

一月六日(土)その三
今回は「悪政を二題」なのに、早くも三題目になってしまった。時事ドットコムによるとお推大臣は
5日に開かれた時事通信社などの新年互礼会で、酉(とり)年だった2017年の同じ会に出席した際、(中略)佐藤、小泉両首相の解散、解散と酉年という話をしたが、私の真意を誰も理解しなかった」と指摘。「実際に10月(の衆院選へ)解散を打つと、『突然選挙をやるのはけしからん』と。何を聞いていたんだという気持ちだ」と軽口をたたいた。

お推大臣が解散したのは、日本ファーストの会(最初の党名案)の準備が整はない時期に選挙をやろうと急遽決めただけだ。1月の話と辻褄が合ったのは偶然だ。とは云へ昨年末に解散をやることは野党も専門家も予想してゐた。
『突然選挙をやるのはけしからん』と。何を聞いていたんだという気持ちだ

は傲慢だ。野党と専門家は年末を予想し、お推大臣は9月28日に解散した。三ヶ月早いし日本ファーストの会が混乱する時機だったから『突然選挙をやるのはけしからん』と野党は思ったし、お推大臣の出身派閥を除くすべての与党議員も思った。それなのにこの男は
何を聞いていたんだという気持ちだ

とトンチンカンなことを云ふ。この男に首相はやはり無理だ。お推大臣が限度だ。

一月七日(日)
早くも四題目になってしまった。先週の週末に、日経平均株価高値更新のニュースが報道された。しかし騙されてはいけない。昨年の一月から十二月までに日銀はETFで5兆8000億円を買ひ増しした。これだけカネをつぎ込めば株価が上がるに決まってゐる。
しかし上がったのは株価だけで、国内経済全体ではない。判りやすい例を挙げると、温度の低い大きな部屋があるとする。部屋を暖めるには全体を暖房すべきだ。ところが悪質な男が温度計の前にだけ電熱器を置き温度計に向けてうちわで扇いだ。確かに温度計の数値は高くなる。しかし部屋全体が温まった訳ではない。同じことをやってきたのがお推大臣(兼、官僚忖度大臣)だ。
今は株価が高いから日銀は利益が出てゐる。バブルはいづれ弾ける。そのとき日銀即ち国民の税金は、大損害を被ることになる。

一月八日(月)
五題目は、お推大臣が国民の生活は意に介せず、表面的評価だけを気にすることだ。ロイターによるとお推大臣は
「1日も早くデフレ脱却宣言ができるよう、あらゆる政策を総動員したい」と述べ、(以下略)

この発言のよくないところは、国民の生活は無視してデフレ脱却宣言ができることだけを気にすることだ。日経平均株価高値更新はその一つだし、給料を上げた企業は減税なんて云ふ珍策まである。
企業は給料を上げたくなくて上げないのではない。余裕がないから上げないのだ。或いは今は余裕があってもそれは株価つり上げの含み益増大とそれに伴ふ売り上げ増加だから、いづれバブルがはじけることを知ってゐる。民間はお推大臣より賢い。
上げた企業を減税したら、余裕のあるところを優遇することになる。

一月八日(月)その二
六題目は、まづ荀子(じゅんし)の言葉を紹介したい。殉死ではない。後者の言葉は例へば、昔三人の首相候補のうち一人が病死したとき秘書も殉死すれば今日の騒ぎにはならなかったのに、などと云ふときに使ふ。さて前者の荀子は
その子を知らざれば、 その友を視よ。
その君を知らざれば、その左右を視よ。

と述べた。「その子」とは「その人」の意味だ。数日前に経済評論家の三橋貴明さんが10代の妻に噛みついたとして逮捕された。これだけなら単なる夫婦喧嘩なので取り上げたりはしない。産経ニュースによると
三橋容疑者は事件を起こす約3週間前の昨年12月13日の自身のブログで「安倍晋三内閣総理大臣との会食」と題して「近い将来、わたくしに何らかの『スキャンダル』が出るか、痴漢冤罪で捕まるか、弊社(三橋容疑者が社長を務める経世論研究所のことか)に国税が来るのは避けられないでしょう」と書いていた。
三橋容疑者は安倍晋三首相と会食した事実をブログで公開。その席で自著の「『財務省が日本を滅ぼす』を進呈」したことを明かした。その上で(中略)「和やかに」議論したとしている。

「その人」を知りたければ友を視れば判る。トカゲの尻尾切りにされた元アベ友、留学時代のお友達、三人の怪しげな前大臣、お朋だち、元同派閥の絶叫暴行女。
新たに配偶者噛みつき男が加はった。いくら戌年でも噛みついてはいけない。

一月九日(火)
九題目は、憲法改正だ。七十年間できなかった憲法改正をお推大臣がやったとあっては後世の笑ひ物だ。そもそもお推大臣は憲法改正を出しては引っ込めてを繰り返し、保守派の論客は西部さん、西尾さんなどみな批判する側に回った。
今またお推大臣が出してきたが、モリカケ問題を誤魔化すためだ。騙されてはいけない。議論に加はってはいけない。「あなたがやったのでは後世の笑ひ物ですよ」と冷たく離すとよい。(完)

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