千三十六(その五十六) 獣医師会は加計学園対策の準備を
平成二十九丁酉年
十月三十日(月)
常識で考へれば、加計学園が認可されるはずがない。しかしこれだけ忖度行政が横行してゐる。森友学園問題では、財務省官僚の刑事責任を追及する動きが活発化してきた。それだけ忖度行政がひどいと云ふことだ。だから加計学園が万一認可されたときの対策を、今から準備する必要がある。
まづ受験者の被害を無くすため、加計学園の卒業生は愛媛県以外には就職させません、と獣医師会は明言すべきだ。これで志望者が集まらず廃校に追ひ込むのが第一段目だ。

十月三十一日(火)
第二段階は、六年後の卒業時に愛媛県以外には就職させない。卒業生に被害が及ぶが、これだけ大騒ぎになっても入学したのだから、それ相応の制限を受けるのは当然だ。これまで獣医学科に入学するには予備校に通ったり、中には二浪、三浪の学生もゐる。突然来年から入学が楽になるなんて、そんな不公平なことを認めてはいけない。

十一月一日(水)
第一段階の前に、更に二つある。第0段階とマイナス1段階としよう。今回の加計学園騒ぎは特区の欺瞞から始まった。審議会はマイナス1段階として、特区の研究施設は周辺に危険ではないのか、本当に特区の研究、教育ができるのかを審査すべきだ。これまでの報道だと、できないことは確実だ。
万一審議会が忖度で認可したとしよう。その場合は第0段階として、文部科学省が不認可を決めるべきだ。特区は政治の問題だ。特区が無ければそもそも獣医学科の新生はできなかった。できなかったことを政治が捻じ曲げて申請を認めたのだから、文部科学相はここで政治の捻じ曲げを正常に戻すべきだ。
政治の捻じ曲げを正さないのなら、文部科学相と安倍の政治生命を終了させよう。

十一月二日(木)朝
前回の内閣改造で、難航したのは文部科学相の人選だった。誰もが火中の栗は拾ひたくない。そして林芳正さんが文部科学相に就任した。当然、事の重要さは分かってゐるはずだ。
今回は通常の学部新設申請ではない。特区だの忖度だの安倍ゴルフだのお友達だのとすべて政治が起こしたものだ。政治で元に戻すのが筋だ。もし対応を間違へれば大変なことになる。まづマイナス1段階で不認可になるやう努力すべきだ。
余談だが、林さんのお父さん義郎さんの名は今でも記憶にある。確か国会で共産党の質問のときにヤジを飛ばし議長か委員長から「林義郎君、お静かに願ひます」と注意されたのだと思ふ。

十一月二日(木)夜
芦田均と云へば昭電疑獄、荒船清十郎と云へば深谷駅急行停車事件、田中角栄と云へばロッキード事件。これが国民の常識だ。古くは田沼の賄賂、柳沢の側用人政治など、国民の歴史への連想にはほとんど変動が無い。
安倍の森友学園、加計学園騒動も同じだ。安倍は永久にその悪名を留めるだらう。悪人は一人で為すのではない。脇役がゐる。芦田はお友達の昭電重役、荒船清十郎のお友達は国鉄総裁、田中角栄のお友達はロッキードのコーちゃん(正しくはコーチャン副社長)と国際興業の小佐野。
突然夕方になって加計学園認可と云ふニュースがNHKなどに流れこれは観測気球なのだが、林さんは審議会の答申とは無関係に判断しなくてはいけない。審議会の答申どおりなら民主政治ではない。戦前の陸軍参謀本部と変はらない。
今回の騒動は特区悪用、忖度悪用、安倍ゴルフ悪用と云ふ政治悪用から発生したのだから、政治で終焉させなくてはいけない。林さんは子孫が政治に関はれないばかりか補助金、忖度、お友達認可として数百年批判の対象となってよいのか。
ごますりは一週間で失効する。谷垣派への冷遇がその典型だ。安倍のお先棒を担いで子孫が永久に嫌な評価を受けるやうになってはいけない。

十一月三日(金)
林義郎さんを調べて気になることがある。この人が本当にヤジを飛ばすだらうか。林十郎とかいふ人が共産党にゐたやうな気がする。インターネットで調べると林銑十郎しか出て来ない。「共産党 林十郎」で検索しても林銑十郎しか出て来ない。
本日になり、林百郎と云ふ名前を思ひついた。インターネットで調べると共産党の国会議員に林百郎さんがゐた。ヤジを飛ばすのはこの人だった。「袖振り合ふも多生の縁」と云ふ諺がある。多生の縁とは前世からの縁のことだ。名前を林義郎さんと間違へたのも多生の縁だ。政治の歪みから発生した特区騒ぎは、政治で解決すべきだ。ここは縁の深い林芳正さんに期待したい。(完)

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