千二十六 味噌汁の勧め
平成二十九丁酉年
九月二十三日(金)
半年ほど前だらうか。味噌の消費量が大きく減少してゐると云ふニュースを読んだ。原因の一つに、だしを入れることが面倒らしい。そこで味噌汁を特集しようと思ひ続けたが、安倍お友達濡れ手に粟騒動が続いたため、延び延びになってしまった。
私は、休日の早朝に一人で食事をするときは味噌汁を作ることが多い。その理由は野菜を簡単に食べられるからだ。卵も簡単に食べられる。かつては味噌汁を煮るときに卵を入れたが、今はお椀に卵を入れておいて煮終へた味噌汁をお椀に入れて、卵が崩れない程度にかき混ぜる。すると半熟の卵ができる。煮るときに卵を入れない理由は、鍋の底にこびりつく。それを防ぐためだ。

九月二十五日(月)
私は味噌汁を作るときにだしは入れない。味噌だけの味噌汁ならだしを入れないと美味しくはないだらう。しかし具をたくさん入れると、具からだしが取れる。私は野菜しか入れないが、味噌汁を作る目的は野菜を食べることだから野菜をたくさん入れる。するとだしは無くても美味しい。

九月二十八日(木)
似たことを料理研究家の土井善晴さんも云ふ。日経ウーマンオンラインと云ふ女性向けのページがあるらしく、ここに
人は誰もが心身共に健康でありたいと思っているでしょう。そうした中で、私が信じることができる食のあり方が「一汁一菜でよいという提案」です。一汁一菜とは、ご飯を中心とした汁と菜(おかず)。その原点を「ご飯、味噌汁、漬物」つまり、「汁飯香」とする食事の型です。
「一汁一菜でよい」とすれば、誰でも毎日食事を作ることができます。ただし、単なる時短や手抜きといった、表面を繕うようなところに一汁一菜があるのではありません。一汁一菜にすることで、健康や生活のリズムに無理が出ず、暮らしやすくなるのです。

とある。その結果
家にあるものを、味噌汁に入れればいいんです。賞味期限が切れそうな卵を入れたって、野菜の切れ端を入れたっていい。それだけで普通においしい。味噌汁を作るようになれば、食材の無駄を減らすことができます。

ここは私と発想が同じだ。私も古くなりさうな野菜を優先させる。卵が冷蔵庫に1パック以上あるときも使用する。

十月一日(日)
卵と云へば、私はご飯に卵を掛けるのも好きだ。以前は専らこの方法だったが、半熟のほうが消化によいので味噌汁に入れるやうにした。最初は鍋に落として、次にお椀に入れるのは、先日書いた。
西洋では卵を掛けないと云ふ記事がときどきある。ここが変だよ日本人と云ふ番組まであるが、ああ云ふ低俗な番組を作る連中のほうがよほど変だ。ご飯に掛けるとつぶつぶの間に卵が浸透して美味しいから掛ける。パンに卵を掛けても不味いから西洋人は掛けない。それだけの相違だ。
同じく西洋人は味噌汁に慣れてゐないから、好んで飲むことはしないだらう。しかし味噌汁は栄養があるし、体にいい。日本の気候にも合ってゐる。味噌汁を後世に伝へることは、今を生きる世代の務めだ。あと西洋野蛮人に地球温暖化を止めさせることも、今をアジアに生きる人たちの務めだ。(完)

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