千二十四(その四十二) 希望の党に期待
平成二十九丁酉年
九月二十七日(水)朝
「希望の党」に「日本のこころ」が合流するらしい。これはよいことだ。「日本のこころ」は石原慎太郎さんが共同代表を務めた日本維新の会が分党し、石原系の議員で作ったものだ。
野党に欠けるのはまづ保守性なので、「日本のこころ」の合流はよいことだ。次に「日本のこころ」が振るはなかった理由は実行力が無かった。石原さんにあった実行力が「日本のこころ」に欠けた理由は、少数派が多数派に至る展望に欠けた。

九月二十七日(水)夜
会社から帰宅後に思ふことは、民進党と合併してはいけない。民進党が一旦解散した上で入党させるべきだ。その理由は小池さんの記者会見に表れた。リセットが必要だ。今回の加計学園騒動では民進党の活躍が著しいので、私も過去の経緯を水に流して応援することにした。しかしさすが小池さんの発表だ。リセットが必要だった。しかしそれほど大変ではない。民進党(民主党を含む)の役職や年数をリセットしてほしい。合流後に、元三役だった、常任役員だった、議員を何年やった。これらをリセットして希望の党に来てほしい。実に簡単なことだ。

九月二十八日(木)朝
安倍は本当に解散するのか。北朝鮮情勢を口実に、突然止める可能性はある。解散の前提で書くと、今から野党再編を模索するより、民進、希望、維新、自由の共同候補を立てたほうがよい。党名を名乗らず共同候補とする。
社民、共産はこれまでの民進との関係で参加してもよい。社民、共産が直接参加すると票が逃げるから、民進の判断で間接参加させるべきだ。

九月二十八日(木)夜
安倍が解散を取りやめる確率は1割と見たが、安倍は閣議で決定し、そして解散した。これで安倍政権下での憲法改正は無くなった。希望の党が改憲だからと言って、安倍政権下での改憲はあり得ない。それより自民は議席を減らすのが確実だ。安倍は過半数が勝敗ラインだなんて無責任なことを言ってゐるが、今より議席を減らしたら安倍の負けだ。前回は勝ちすぎたから少しは減らしたとしても仕方がない。それ以上減らしたら自民党各派閥は安倍降ろしに動くべきだ。

本日は、大きなニュースが入った。前原さんが解党を決意した。英断を心から歓迎したい。正午ころ共産党の志位さんが民進党の背信に不満を述べ、対立候補を立てると云ふ。この時点で私が思ふに、共産党が対立候補を立てても希望の党には影響しない。逆に自民党に逃げるはずの票が戻る。
夜になり、別のことを考へた。民進党がこれまで共産党とどう云ふ経緯があったかは判らない。しかし約束は守るべきだ。共産党の主張と、希望の党の主張を、民進党が仲介し希望の党が候補を立てない選挙区幾つかに共産党が候補を立て、民進党として推薦する。これくらいは行ってもよい。

九月二十九日(金)朝
もう一つ心配なことがある。希望の党の選別に外れた人たちをどうするのか。昔、国鉄分割民営化のときに動労(当時、現JR総連)が突然寝返って、そのため国労、動労千葉、全動労から多数の不採用者を出した。三十年を経過した今でもあのときの事件は批判され続ける。
まだある。自民党の長期政権に終止符を打ち細川政権が誕生したときに、社会党以外の与党が統一会派を組んだことがあった。選別から除外された社会党は政権から離脱し、羽田政権は短命に終った。そして自社政権と云ふあってはならない組み合はせが受け皿になってしまった。
一方で、社会党が日本新党と合流し民主党結成のときに社会党の議員は選別されたが、このときは批判されなかった。その理由は社民党と云ふ受け皿が存続したからだった。

今回、民進党の存続は難しいし、希望の党に合流することが正解だ。選別にもれた人たちを救済するため、公認はするが将来、入党は辞退してもらふ、の線で決着すべきだ。或いは公認ではなく推薦でもよい。籠城した敵を攻撃する場合に、わざと包囲の弱い部分を作って敵を逃がすのは作戦の一つだ。逃げた敵を殲滅するためにやる場合もあるがこれは悪質だ。将来霧散する敵なら逃がしてあげたほうが籠城兵が喜ぶし、こちら側の犠牲も少ない。

九月二十九日(金)夜
細野さんがよいことを言った。三権の長を経験した人は入党すべきでないといふのだ。具体的には菅と野田だ。これらを入れたら第二民進党どころか純正民主党にになってしまふ。前原さんが見本を示してくれた。無所属で立候補するか引退すべきだ。

九月三十日(土)朝
民進党は森友学園、加計学園の追及で活躍が著しいので、過去のことは水に流した。しかし希望の党の将来のために一言だけ過去に言及すると、民進党が悪くなったのはリベラル派だけが原因ではない。保守派も悪い。つまり全体が悪い。こんなことになった理由は連合の圧力だ。
リベラル派は官公労の影響を受ける。だから護憲だ、死刑廃止だと国民の感覚と正反対の主張をする。保守派は大手民間労組の影響を受けるから、消費税増税を叫ぶ。私は中福祉中負担に反対ではないが、大手民間労組は消費税増税分を賃上げで回収し、しかも福祉たるや自分たちに都合のよいものを組み込むから大手民間労組にとっては大福祉小負担になる。ゼロサムの原理で日本経済全体で見ると、官公労と大手民間労組を除く多数の国民は小福祉大負担になってしまふ。今回の民進党解党騒ぎの直前まで保守派が消費税増税を叫んでゐたことは反省してもらひたい。

二年前に民主党から民進党に改称することに一番反対したのが、連合だ。連合は既得権意識が強すぎる。希望の党は連合から圧力を受けてはいけないし、新規の組織内候補を受け入れてはいけない。民主党が民進党に改名した結果、人気が回復したかどうかは今回の解党騒動で明らかだ。希望の党は同じ轍を踏んではいけない。

九月三十日(土)夜
歴史を振り返ると、戦に勝つ武将は勝機や勝利を見逃さない。戦に負ける武将はこれらを見逃す。例へば南北朝分裂前に後醍醐天皇軍は足利軍を摂津で破った。足利軍は大敗したが尊氏の首を取り損ねたため、尊氏は九州で勢力を回復し朝廷軍を破った。これは勝利を見逃した例だ。
織田信長が本能寺で殺害されたあと、豊臣秀吉は一気に明智光秀を破った。これは勝機を見逃さなかった例だ。関ヶ原の合戦のあと、家康は西軍の大名をほとんど逃がさなかった。これは勝利を見逃さない例だ。
駄目な武将は勝機や勝利は今後幾らでもあると勘違ひする。優れた武将はこの一回だけだと悟る。今の希望の党には勝機がある。選別で内紛を起こし、勝機を逃してはいけない。(完)

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