千十八(その三十四) 安倍は私益を廃し保守主義に戻れ
平成二十九丁酉年
九月六日(水)
一週間ほど前、AERAdotに古賀茂明さんが「安倍政権の内閣人事局による官僚支配は諸悪の根源か?」を書いた。
安倍政権が、森友学園、加計学園、防衛省PKO日報問題などで、一切その非を認めず、強硬路線を採り、その過程で官僚に嘘をつかせたり、無理な忖度をさせたりしていることで、安倍政権の「官僚支配」が問題視されている。
 特に、最近、「内閣人事局ができて、政治家が官僚の人事権を握ったので、官僚が正しいことを言えなくなったり、過度に官邸の意向を忖度するようになった」という批判が目に付く。
で始まる。その一方で古賀さんは十年前に内閣審議官として公務員制度改革を担当し提案の中で初めて内閣人事局の創設に言及した。

九月七日(木)
その結果、次のことが起きた。
官僚側の抵抗は激烈だった。財務省を頂点として、私をはじめとした事務局の改革派メンバー(当時の渡辺喜美行革担当相によって一本釣りで集められた元官僚や民間人が中心)に対して、事務局の一般官僚まで動員して我々を誹謗中傷する怪文書がマスコミに配布されたりもした。
 抵抗したのは官僚だけではない。官僚と結託して利権を維持しているいわゆる族議員たちもあからさまに抵抗した。最後は数少ない自民党の改革派議員でさえ、霞が関の恨みを買うことを恐れて、櫛の歯が欠けるように改正案の条文の骨抜きを黙認せざるを得なくなるほどであった。
第二次安倍内閣で内閣人事局は日の目を見た。ところが
安倍政権は、極めて強引な政治を強行し続けた。その過程で、官僚が無理な行政を遂行させられ、それに伴う情報の隠ぺいなどに積極的に加担する姿が白日の下に晒された。
なぜこんなことになったかは
そもそも「政治主導」の考え方には暗黙の前提がある。それは、内閣は国民のために仕事をするという前提だ。(中略)ところが、加計学園の問題で露呈したのは、本来国民のために働くはずの内閣、とりわけ総理が、自己の利権のために仕事をしているという疑惑だ。これでは、官邸主導は、総理個人の利益追求を助長する仕組みになってしまう。憲法が想定したのとは全く逆の事態だ。
 また、官邸(内閣)主導と言いながら、実は総理独裁になっているのではないかという問題もある。憲法では、行政権は内閣に属するものとされ(65条)ていて、決して総理個人に属するものではない。したがって、現在安倍政権が批判されている様々な問題については、果たして「内閣」による行政として行われているのか、あるいは、それを逸脱した「総理個人」の意向で行われているのかという問題を明らかにしていくことも必要だ。
そのとおりだ。

九月九日(土)
古賀さんは、マスコミも批判する。
 今回の件で、マスコミの機能が非常に弱体化していることが明らかになった。内部告発の情報を入手してもNHKがなかなか放送できなかったというのが最たる例だ。
 また、官房長官会見では、東京新聞社会部の望月衣塑子記者の国民目線の鋭い質問が注目を浴びたが、逆に言えば、それまで政治部の記者は何をしていたのかということだ。今も、各社において、政治部が他の部の安倍政権批判の記事に横やりを入れたり、官邸の記者クラブが官房長官会見での望月氏らの質問を妨害する動きを見せるなど、どちらを向いて仕事をしているのかと思われるような状況になっている。
 国連人権委員会の特別報告者や国境なき記者団、その他の海外の機関から問題視されている記者クラブを直ちに廃止することが国民のためだ。
(前略)加計学園のスキャンダルが大問題になっているさなかに、テレビ朝日の早河洋会長が報道局長、政治部長、現場の政治部記者まで連れて、安倍総理と長時間密室で飲み食いしていたという問題が報じられたが(以下略)
これもそのとおりだ。

九月九日(土)その二
NHKについては、日刊ゲンダイDIGITALも『加計疑惑「建設図面」入手でも…NHKはなぜ放送しないのか』で
「NHKは建築図面をかなり前に手に入れたようです。現場の記者は『クローズアップ現代+』で放送することを前提に、建築の専門家に分析もしてもらったようです。でも、官邸から圧力があったのか、忖度したのか、まったく別の理由なのか、いまだに放送されていません」(NHK関係者)
NHKは、前川喜平前文科次官のインタビューを撮りながら放送しなかった前科がある。
行政が歪められた「加計疑惑」にどんな闇があるのか、徹底解明する必要がある。

と批判してゐる。(完)

前、(その三十三)へ 次、(その三十五)へ

メニューへ戻る 前へ 次へ