千十八(その三十二) 「続々、警視庁いきもの係・搜査開始」の卷
平成二十九丁酉年
八月二十二日(火)
テレビ番組「警視庁いきもの係」のパロディが二回続いたので、今回は「がまぐち県ハゲ市」と題して作る予定だった。がまぐち県と云ふ架空の県がある。一般の住民は善良だが、政治屋がよくない。お友達から金銭を援助してもらひ、見返りに特区で利権を与へる。 そんな政治屋の所属する派閥の女が「ハゲー」と絶叫して秘書に暴力を振るった。全国から非難が集中したため幕府に恭順の意を示して派閥の会長など三名を切腹させ、県庁を元の位置に戻し名称もハゲ市とした。
こんな出だしで開始の予定だった。ところが今週の「警視庁いきもの係」が面白かったので、続々編として継続することにした。

八月二十三日(水)
今週の「警視庁いきもの係」が面白かったのは、いつもは須藤(渡部篤郎)とトンチンカンな掛け合ひを演ずる圭子(橋本環奈)が、今回は警察博物館受付の三笠(石川恋)と演じる。動物用語だけで対応する圭子は面白かった。ペットショップ店長との会話、店長の取り調べでも動物用語に終始した。そのあと、須藤が店長に云ったことに対し圭子が「須藤さんは変ってゐますが、今言ったことは正しいです」と店長に云ふ。須藤が「変ってゐるのはお前だ」と応じることで、今までの三笠、店長との会話はすべてここの伏線なのだと判る。
さう考へると、前に圭子が動物に聴くふりをして「なになに、須藤さんはxx。」、須藤に向かって「動物がさう云ってゐます」に対して、須藤が「お前がさう思ってゐるのだろ」と応じたことも改めて思ひだす。
今回はピラニアが主役だった。公園の池に誰かがピラニアを放流した。それを店長が手際よく回収し、そのことから店長が犯人と判る。当ホームページではウソニヤと云ふ架空の動物が登場する。国会の参考動物に呼ばれても、証動物ではないから嘘を吐いても罪に問はれない。嘘を吐き終ったあとニヤニヤする、たちの悪い架空の動物だ。

八月二十八日(月)
先週の番組で一つ面白いことに後から気付いた。圭子と須藤がペットショップに入ると、人気者となった店長を囲んで大変な賑はひだ。すれ違った女子高生の一人が圭子に「コスプレ」と呟き、これは毎度のことだ。別の女子高生が須藤に向かひ「パパ活」と呟き、須藤が「パパ活って何だ」ときょとんとする。パパ活の意味をインターネットで調べると渡部篤郎主演のテレビドラマだった。別のドラマの主役がきょとんとするところは面白い。
今週の殺人事件は容疑者がフクロウを飼ふ隣人だ。しかし現場に落ちてゐた羽は隣人のモリフクロウではなく、お友達の友塚が飼ふベンガルワシミミズクだった。ここからお友達と被害者の妻が不倫関係で、それをもみ消すための共犯だったと判る。
今回は圭子に転職の話が出て来る。南極観測隊とペットショップの店長。どちらにするか迷ふが番組の最後で四つとも断ったと云ふ。全日本獣医学連盟と世界動物科学学会と云ふ架空の二団体まで加はった。
当ホームページでは、まづボッタクロウと云ふ架空の鳥が登場する。坪単価を高額に見せかけて補助金をぼったくる鳥だ。次にお友達の飼ふケイサンズクが登場する。獣医学部新設のため、議員を客員教授にしたりパーティー券を多人数に分散して購入したのは飼ひ主の計算づくだった。

九月四日(月)
今週はハリネズミ「チュースケ」を飼ふ少女が強盗に襲はれた。しかし少女が入院中に「ハリー」と云ふ別のハリネズミと入れ替はった。ここから「ハリー」の飼ひ主が自宅に放火するため強盗を装って少女を入院させたことが判明する。
当ホームページでは、「ウソツケ」「ハゲー」と云ふ名のドブネズミが登場する。「ウソツケ」は毎夜「嘘吐(つ)け、嘘吐け」と鳴く。意味は「嘘を吐いただろ?」なのだが、飼ひ主は「嘘を吐きなさい」と命令されたものと勘違ひし「獣医学部新設を知ったのは今年一月二十日」と嘘を吐いた。「ハゲー」の飼ひ主は、青森県内の町議兼任で後任の秘書になったのに何もせず二ヶ月分の給料を二重取りした。

九月十一日(月)
昨日は第10話で最終回だった。養蜂を営む男が昔、重要参考人として事情聴取を受け、その間に台風で蜂が全滅した。取調べたのは鬼頭だった。その反省からいきもの係を作ったのだが、元養蜂業の男は詐欺集団のギヤマンの鐘にそそのかされ、スズメ蜂によるテロを企てる。しかし服に入った花びらの咲く時期から、スズメ蜂によるテロは陽動作戦で鬼頭の暗殺を狙ふことを突き止める。
話に少し無理があるが、このドラマのよいところはとにかく面白いことだ。フジテレビの日曜夜9時はドラマ枠で、視聴率の低迷が続いたため9月で打ち切りになるさうだ。だからドラマ制作陣の「開き直り」と表現する評論家もゐた。今回も随所に面白い場面があった。一番面白かったのは、皆が警察手帳を示すところだ。全員が警察手帳を示す必要は無いし、制服の警察官まで示す必要は無い。二出川(でんでん)が年金手帳を示すから更に面白かった。二番目は扉が倒れて皆が乱入する場面、三番目は圭子がスクリーンに狐の手文字を映し須藤が慌ててやめさせるところ、四番目は須藤と四十万(横山だいすけ)の駄洒落合戦かな。
十週間七十日。パロディで安倍批判を続けたが、安倍は丁寧な説明も、反省も、すべて反故にした。安倍の逃げ切りを許してはいけない。九月末の臨時国会が勝負だ。本当は街頭宣伝など今からやれることはあるのだが。(完)

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