3、英会話ブームに警告
英語を学習するとどのような弊害があるか
日本では、1995年あたり2002年あたりまで大変な英会話ブームだった。
その後急速にしぼみはしたが、英会話ブームが日本にどれだけ悪影響を及ぼすかを考えてみたい。
1 英単語を日本語に混ぜる人が出てくる
英単語は英語を話すときに使うものであり、日本語を話すとき
に使う必要はない。フランス語から日本に入った外来語も多数
あるが、だからといってすべてのフランス単語が日本で通用する
訳ではない。英語も同じである。ところが英語の場合だけ、
日本に定着していない単語をやたらと使う人がいる。
例えば、「この件はユーエスのバイスプレジデント
しか知らないコンフィデンシャルで、しかも昨日はユーエスの
ホリデイだったので、私も本日知りました。」といった類である。
「私は国語力が弱いのにキザです」と公言しているよう
なもので、みっともない限りである。
このような人たちが出現する理由は、中学や高校の外国語が英
語だけだからである。英語、フランス語、中国語、韓国朝鮮語
のうちから選択するようにし、大学入試もすべての外国語を平
等に扱うようにしたらどうか。日本語は今より3倍美しく、
日本人の国際性は今の10倍に増すであろう。
2 性格が悪い人が多い
これまでに会った英語が堪能な人のうち、性格が良い人は15%
くらいに過ぎない(たまたまこの当時、会う人がトラブルメーカばかりで
本当に困りました、もちろんいい人も多いです。
ある大学教授に性格が悪い人が多いかどうかは判りませんが、と言われ
まったく同感なので加筆しました)。
性格が悪いのは次のような理由が考えられる。
(1)周りに英語の下手な人が多いので慢心をおこした
(2)英語の勉強は非論理的な詰め込み学習の繰り返しで
あり、習得の過程で性格が変化していった
(3)白人に愛想笑いを繰り返すうちに黄色人種を
人間だと思わなくなった
(4)頭の記憶領域を使いすぎて作業領域が少なくなり
短気になった
(5)外国語や外国文化は心をいらいらさせる。旅行を
考えると分かり易い。国内を旅行すると心が豊かにな
るが、海外旅行をすると楽しくはあっても心は貧しく
なる。
ここ5年程の間に日本人の英語力は急速に伸びた。そして性格
の悪い人の比率も65%程度にまで低下したように思う。この
ことは上記(1)が主な原因であることを示している。
3 日本の繁栄もこれまでか
日本は終戦直後の最貧国から世界でも有数の経済大国になった。
その理由の1つに、英語が下手だったから、ということを
あげても良い。イギリスの元植民地だったり2つ以上
の言語があるため英語を今でも公用語にしている国は幾つも
あるが経済的に豊かな国は少ない。
英語を学習するには、大変な労力を必要とするし、書籍や新聞
が母国語ではないというのは、日常生活や日常業務において著
しく非効率である。最近の日本での英語ブームを見るとき、日
本の繁栄もこれで終わりかという気持ちと、日本だけが一人勝
ちするより、アジア全体が繁栄してほしいからこれで良いのだ
という気持ちが混ざり、複雑な思いがする。
4 日本の戦後の世界への貢献
日本は1965年頃から1995年頃までにかけて、あることで世界文
化に多大な貢献をしてきた。それは英語が下手でも成功すると
いう見本を世界に示してきたことである。日本を見習って母国
語を重視するよう政策を変更した国は南アジアを中心に多数に
及ぶ。最近の日本の英語熱は、今後日本は世界に貢献しなくな
ることを示す。もっとも10年後、多数の日本人が英語を勉強
しても経済はさほど良くならず金融機関は外資系に乗っ取られ
てしまい、母国語を重視しない日本が世界に悪い見本を示せば、
やはり貢献し続けることになる。
5 外観より中身
新聞社駐在員や一般の人の書いた海外の記事は、面白くないもの
が多い。英語を話せるという自慢と、海外に生活しているまたは
行ったという自慢を発表したいという気持ちを除くと、あとは
何も残らないからである。
英語を勉強することの恐ろしさは、英語
を話すということにとらわれて、肝心の中身が貧弱になることに
ある。英語の勉強には膨大な時間が必要である。その分、中身が空
虚になってもご本人は自己満足している。英語が万一世界共通語になると、一部
の国の人たちだけに不公平であり、このことが英語の世界共通語
化に反対する理由である。
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