四百六十八、おら歌舞伎町さ行つただ


平成25年
八月十六日(金)「先週の土曜」
先週の土曜はうちの会社の親睦会の新人歓迎会で歌舞伎町に行つた。新人は四月に入社したのになぜ今ごろの東京で最高気温は35度、最低気温が30.4度の日に新人歓迎会をやるのか。それはさておき場所はインターネットで予め調べておいた。コンビニの2ブロツク先である。ところが行つてみるとない。あちこち迷つた。
路上で怪しげなCDの勧誘をする人に道を聞くと親切に教へてくれた。教はつた場所に行くとやはりない。そこでも違ふCD関係者に教はつた。それでもない。時間がだんだん迫るのであせつてきたが、ビルの名前から追ふと、何とコンビニの入つたビルの上の階だつた。地図が間違つてゐた。
この日の収穫。怪しげなCDを勧誘する人も悪い人ではないことが判つた。とはいへCDを購入してはいけない。

八月十七日(土)「関東甲信越」
「おら歌舞伎町さ行つただ」はどこの言葉だらうか。今の会社に入社するずつと以前の話だが、同じ職場に八戸出身で仙台市立小学校の元教師といふ女性がゐた。「入りたくなかつたのに宮教組に加入させられ、基地反対集会に行つた、知人が信州南安曇郡にゐて、向ふでは『何々しただ』といふふうに何でも後に「だ」をつける、ギャハハハ」と一人で大笑ひをしてゐた。確かに松本近辺では「おら昨日農協に行つただ」といふ具合に「だ」を後につける。

(問)この元教師の悪いところと良いところを指摘せよ
(答、その一)わるい点
1.労組は強制されて加入するものではない。さういふことをするとユニオンショツプの大企業ニセ労組みたいに消費税増税賛成するところが出てくる。
2.東京の言葉が正しいのではなく各地域の言葉はその土地の文化であり貴重である。大笑ひするとはもつてのほかである。
(答、その二)よい点
1.自分が教師に向かないと判つてすぐ辞めたのは偉い。プラザ合意の前までは転職先は幾らでもあつた。

八戸と久慈は距離が近く、今は青森県と岩手県に分かれたが江戸時代までは奥州の南部藩であつた。「だ」を付けた言ひ方で大笑ひするといふことは八戸と久慈ではさういふ言ひ方はしないと思ふ。
さて、前に茨城県の潮来で道を聞いたところ「この先の信号へ」といふことを「この先の信号さ」と言つた。つまり「おら歌舞伎町さ行つただ」は関東甲信越地方の言葉であつた。

八月十九日(月)「新人歓迎会の会場」
新人歓迎会の会場は、天井に板が張つてなく照明や冷房がむき出しで床も相当に痛んだ店だつた。店員の感じはなかなかよい。かういふ店は応援しようといふ気になる。
日本はまづバブル経済でおかしくなつた。その直前のプラザ合意で物の値段が安くなつた。これで異常になつた。建物はやたらと豪華だし贅沢である。その点、かういふ質素な店はよい。

八月二十日(火)「朝の歌舞伎町」
八年ほど前に人事採用に配属になり週に一回か二回、求人のため新宿の職安に通つたことがある。求職者は西新宿庁舎だが求人会社は歌舞伎町庁舎である。歌舞伎町の中を歩いて通つた。普通は十一時だとか午後二時だとかに行く。しかし朝早いといい求職者が見付かるかも知れないと開庁時刻の朝八時半に行つたことが三回ほどある。歌舞伎町の中を歩くと毎回道路に座り込む若い男女が一組か二組ゐた。家出なのか初めて酒を飲み悪酔ひしたのか判らない。そのうちの一組は歌舞伎町庁舎から少し駅寄りの大久保病院の前で座り込んでゐた。気になる事象ではあつた。

八月二十一日(水)「落伍者から頼られる運動」
かつての社会党総評ブロツクは人生の落伍者からも頼られる運動だつた。直接地区労に相談には来なくても、春闘でストライキをやれば歌舞伎町で道路に座り込む人も元気付けられるし革新系が議席を増やせば住みやすい世の中が来る気がした。共産党だつて頼られたし民社党だつて頼られた。創価学会公明党ブロツクも日本中を折伏する勢ひだつたし、地元に責任を持つ自民党も頼られた。地元に帰ろう。あ、これは「あまちゃん」に出てくる歌だつた。
つまりすべての政党は国民の心の支柱だつた。ところが自民党と社会党の馴れ合ひが始まると変になつた。そしてつひにシロアリ民主党といふ最悪の連中が出て来た。「ぶ厚い中間層」とは一体何だ。ぶ厚いといふからはそこに入れない層がゐる。下層の底上げこそ世の中をよくする。下層が上がれば中間も上がるからである。
ここでシロアリ民主党のような偽善者がよくする主張に、最低賃金を上げろといふのがある。新自由主義を誤魔化すため偽善者が行ふ常套手段である。もちろん最低賃金を上げることには賛成である。しかしさういふ人為的なやり方ではなく下層を上げなくてはいけない。人為的なやり方はグラフにしたとき微分値が不連続になるためである。(完)


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