千十二(その二十六) 1.元首相の福田さんが安倍を批判、2.今回の内閣改造について
平成二十九丁酉年
八月二日(水)
共同通信によると
福田康夫元首相は2日、東京都内で共同通信のインタビューに応じ、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画や「森友学園」への国有地払い下げなどを踏まえ、安倍政権下の「政と官」の関係を批判した。「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」と述べた。2014年に発足した内閣人事局に関し「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」との認識を示した。
中央省庁の公務員の姿勢について「官邸の言うことを聞こうと、忖度以上のことをしようとして、すり寄る人もいる」などと指摘した。
旧福田派は安倍に潰されさうだ。今こそ昔の福田派に戻るべきだ。
八月五日(土)
福田赳夫さんは「昭和の黄門」を自称した。だからと言って、小泉みたいに突飛なことをするでもなく、安倍みたいにお友達濡れ手に粟の政策をごり押しするでもなく、地道な政治家だった。
ご子息の福田康夫さんは、小泉退陣の後に、安倍の対立候補と云はれたが出馬しなかった。安倍のタカ派に対し、福田はハト派で、同じ派閥でありながらこれだけの相違がある。安倍のお友達濡れ手に粟に対して、福田はお父さんと同じで地道。ここでも今の細田派は本来の福田派と小泉安倍の突然変異組との混成であることがよく判る。
八月五日(土)その二
安倍が内閣を改造した。そして自民党の人事異動を同時に行った。もしこれらが別々に行はれるのなら、政府と自民党は別の組織だと納得がいく。ところが同時に行った。しかも内閣に都合の悪い人を自民党の要職に移動させた。
肩書の有る無しはどうでもよいことだ。それなのに常に大臣だの幹事長代行だのと肩書が無いと不満だと云ふ人は、異常肩書執着病、出世欲異常症と云ってもよい。
野党はこれを有効利用するとよい。臨時国会開催、証人喚問など野党側要求に、安倍が国会が決めることだと言ったときは、政府と自民党の人事を同時に行ったのだから、自民党総裁でもある安倍は首相に対しての要求に答へる義務があると、どんどん宣伝すべきだ。
八月五日(土)その三
例によって安倍の反省はまったく信用できない。まづ
さまざまな問題が指摘され、国民の皆様から大きな不信を招く結果となりました。改めて深く反省し、国民の皆様におわび申し上げたいと思います。
と発言した。誠実さがまったくない反省のやり方に「世間をお騒がせした」「誤解を招いた」「不信を招いた」がある。これらはよく考へてみれば「騒ぐお前らが悪い」「誤解する国民が悪い」「不信を持つこんな人たちが悪い」と云ふことだ。
前回の「丁寧な説明」も、表現を丁寧にしただけで内容はまったく丁寧ではなかった。だいたい野党側の証人喚問になぜ応じないのか。嘘をついたら罰せられる証人だと都合の悪いことでもあるのか。
八月六日(日)
念のため、記者会見の全文を読んでみた。それによると
先の国会では、森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、さまざまな問題が指摘され、国民のみなさまから大きな不信を招く結果となりました。
そのことについて冒頭まず、改めて深く反省し、国民のみなさまにお詫び申し上げたいと思います。
国民のみなさまの声に耳をすまし、国民のみなさまとともに政治を前に進めていく。5年前、私たちが政権を奪還したときの、あの原点にもう一度立ち返り、謙虚に丁寧に国民の付託に応えるために全力を尽くす。
加計学園問題は昨年夏に始まった。五年前に立ち返ると、加計学園問題は白紙に戻すのだらう。安倍さんも記者会見でなかなかよいことを云ふ。ところが後半で
国家戦略特区での獣医学部新設では、内閣府と文部科学省との調整過程を巡り当事者間で言った言わないの水掛け論に陥り、疑惑や疑念を招きました。
梶山大臣にはこうした省庁間の調整プロセスも含め、さらなる透明性の向上に向けて、特区制度の運用強化を進めてもらいます。
林(芳正)文部科学大臣はこれまで、さまざまな閣僚を歴任し、霞ヶ関の組織をまとめ上げてきた豊富な経験をお持ちです。文部科学省の職員の心を1つにまとめ、省一岩となって教育の再生、科学技術の振興に邁進してもらいたいと考えてます。
「言った言わないの水掛け論」とは一体なんだ。文部科学省側は文書がある。獣医師会にも文書がある。内閣府には文書が無い。いや本当はあるのだが出せないのだらう。水掛け論を解消するには証人喚問がよい。野党は要求してゐるし、前川さんは受けると言ってゐる。それなのに安倍が拒否してゐる。或いは安倍が直接云ふ訳にいかないから意向を忖度した自民党の議員が拒否してゐる。これでどちらが嘘を吐いたか明らかだ。
だいたい水掛け論は内閣府と文部科学省だけではない。もっと重大な人間が抜けてゐる。安倍がこのことを知ったのは1月20日なのか、それとも昨年なのか。
次に「特区制度の運用強化」とは一体なんだ。特区とはその地域で完結しなくてはならない。なぜなら地域外が関係すると全国に展開できないからだ。獣医学科問題が愛媛県内で完結するならよい。四国地方内で完結してもよい。実際は獣医学科の高倍率に目を付けた濡れ手に粟の商法だから、全国から学生を集め卒業後は全国に帰る。
これだと特区にならない。全国展開できないからだ。全国展開すると低倍率になり、定員割れするからだ。せっかく「安倍さん」と数か月ぶりにさん付けに戻ったのに、1分後には呼び捨てになった。言葉だけ丁寧にしても1分後には本性が現れる。(完)
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