「日車の車両史」(鉄道史保存会)に都電の記事が載っていますのでご紹介します。説明文と図面に描かれている数字などで特記すべきものを要約しました。青字は私の感想です。日本車両は、旧日本車両(本店つまり名古屋)と旧天野(蕨)が合併し、それぞれの独立性が高い状態が、豊川蕨製作所への統合まで続きました。本店の台車形式はND、NS、NT、支店の台車形式はNA、NB、NL、N、UT、NCです。このうち路面電車用はNSとNです。
- 旧3000型
大正12年75両、大正12年12月~13年5月70両製造
番号、大正12年75両分不明、3301~3370
台車は浅野造船D#10
従来の木製都電を一新した車両。骨組みを鉄骨製とし2枚引戸の側扉を設けて車内を一体化した。他社分も含めて610両と大量の投入であり、戦前の東京を代表する車両であった。
図面名称:車体組立
図面名称はそれぞれの型に書かれていますが、特記すべきものをここに紹介します。台車が浅野造船というのも貴重な情報ですね。
- 1000型
昭和10年~11年30両製造
台車は、ブリル
昭和10年度に製作された1000型は正面上半分が傾斜したものとなった。このグループは昭和23年の改番で1100型となった。
図面名称:半鋼製四輪ボギー低床電車
レールから床までの高さ:900
出入口付近の同高さ:875
階段1段目までの同高さ:380
階段2段目の1段目からの高さ:250
階段3段目の2段目からの高さ:245
床や階段の高さは旧3000ではインチらしい数字で書かれているので省略し、1000型ではミリメートルなので紹介しました。
- 6000型
昭和24年~27年。名古屋、蕨、65両製造。製造時期、メーカーにより多少の差が見られる。本図は本店製の6180~6191で使用されたもの。
車輪直径:660
レールから床までの高さ:755
車輪直径は1000型では数値が変なので6000型から紹介します。
- 2000型
昭和26年、蕨、10両製造、2001~2010、台車D10N。
3000型、4000型など木造車の鋼体化名義で6000型に類似の車体を製造。
レールから床までの高さ:755
- 6500型
昭和29年、蕨、6501、台車D19(住友FS351)。
WN駆動の試作車でPCCカーとして試作された5500型と異なり、6000型の延長上の車体を持った。5500型PCCカーとともに運転扱い等で一般車と相違があり、充分活躍できぬまま42年末に引退した。
車輪直径:660
レールから床までの高さ:907
出入口付近の同高さ:887
その他:運転席に座席が描かれている、出入口は3段か
図面によると3段に描かれています。あるいは床下が3段に書かれているとも考えられますが、床までが907と高いので3段だと思われます。
- 7000型
昭和29年~31年、名古屋、蕨、45両製造、台車D18、D20(日車NS3他)。
本図は本店製の7001~7010
車輪直径:660
レールから床までの高さ:770
- 8000型
昭和31年~32年、名古屋、蕨、45両製造、台車D21(日車NS8)。
15年程度の短寿命と超軽量を目指した経済車として登場。本図は唯一ユニットサッシを採用した本店製の8112~8131。乗心地改善のため40年度にD25(日車N112)型台車5両分が製造され履き替えられた。
車輪直径:610
レールから床までの高さ:753
トラムとメトロという書籍に、10両をD25に履き替えたという記述があり、それまでどこにも書かれていませんでした。しかし日車の資料に書かれていたのですね。8000型は将来の都電廃止を見越して製造されたという記述が最近は多いですが、私は疑問を持っています。昭和40年代にはそのような記述はほとんどなかったからです。乗合自動車のように短寿命で安価な車両(保守費、動力費を含め)を目指したのだと思います。
- 7500型
昭和34年、名古屋、10両製造、7501~7510、台車D23(住友FS80)。
7000型の量産の後、8000型、2500型と短寿命の経済車を試行した都電であるが、この7500型で従来のオーソドックスなデザインに落着いた。日車製の主電動機、制御装置を搭載した。
台車についても、いくつか記述があります。
- NSー3型
昭和29年~31年製、7000型用のプレス鋼板全溶接台車。片側4本ずつ下ろした揺れ枕吊りが珍しい。横梁に曲げ荷重がかからないようになっている。狭軌2000型用NS-5型(局形式D16NA)は同系。
局形式はD20で日車形式は後から付与。本図はNS-3A型(局D20A型)を示し、ブレーキ機構、揺れ枕形状が変わった。土佐電気鉄道向けNS-10、11は類似形態。
D20AはD20とどこが違うかが明らかにされています。
- D-18型
昭和29年製、鉄鋼製台車枠を持ち、軸ばね、枕ばねにコイルばねを採用した。日車形式を持たないが本店製NS-3型(局形式D-20型)の前身にあたる。
D18はD20と枕バネが異なるため全然別の形式だと思っていましたが、D20の前身にあたるのですね。
- NS-8型
昭和31年~32年製、8000型軽量路面電車用の台車。内側軸受け方式の台車枠、枕ばねの横剛性を利用して下揺れ枕を省略したいわゆるインダイレクトマウント方式など軽量、低コスト思想を盛り込んだもの。軸箱はゴムを介して台車枠に取り付けられ軸ばねを省略した。局形式はD21。約100両分と大量生産された。
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